日々アレこれそれナニ

気がついたことをぼちぼち書いています。

Chap.1:いつも映画ではじまる

 あるおだやかな日の午後、彼女はPCの前に座り、キーを
ポチポチとたたいていた。興味を引く情報がないからなのか
さして面白くもなさそうにしている。
 容姿は、まぁ悪くない部類であろう。特筆すべきは女性にしては
少し高めの身長であろうか。いつのころからか伸びはじめ、
中学生のころには男子から、からかいの対象になったこともあり、
少しコンプレックスのようだ。友人に言わせると
背筋を伸ばして歩くともっといいのに、というところだそうだが。
 携帯の着信音が鳴った。
 彼女の友人からのメールだった。
友人以上恋人未満。というありふれた感じであるが
恋人というわけではないので、友人なのだろうという
実にあいまいなポジションである。
『由紀さん、こんにちは。薫です。こないだblogでいきたい
って言ってたあの映画、今度の土曜日にでも行こうよ』
 藪坂薫からだった。由紀の知り合ってから8年ほどになる友人だ。
きっかけはもはやなんだったか由紀も覚えていないが、妙に
眼が離せなかったことを覚えている。
『いいよ。じゃぁ東口のモアイ像のところで。11時にね』
物憂げだった表情から、少し元気が出たようで表情が明るく見える。
由紀はノートPCを閉じ、薫とのことを少し思い出していた。